OMNI

お知らせ

イギリスのEU離脱による、特許等の制度に対する影響について

Date.2016年9月23日


 イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット;Brexit)の決定に伴い、同国での特許、意匠及び商標制度に及ぼす影響については、現在、以下のような状況となっています。

 

 

・欧州特許条約(European Patent Convention; EPC

 イギリスがEPCの締約国であることに変わりはないため、これまで通りEPCルートでの特許出願が可能です。また、すでに発行している特許権についてもこれまで通り存続します。

 

・欧州単一特許(Unitary Patent; UP)/欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court; UPC

 イギリスは、欧州単一特許及び欧州統一特許裁判所に参加予定となっていましたが、今回のEU離脱により、欧州単一特許での権利取得や、欧州統一裁判所での侵害訴訟等ができなくなると思われます。

 尚、イギリスのEU離脱の影響により、欧州単一特許及び欧州統一特許裁判所の発効自体も遅れることが予想されています。

 

・登録共同体意匠(Registered Community Design; RCD)、欧州連合商標(European Union Trade Mark; EUTM)、マドリッド協定議定書

 イギリスが正式にEUを離脱した時点で、欧州共同体意匠及び欧州連合商標については効力が失われると考えられていましたが、2016年8月2日に英国知的財産庁(UKIPO)が公表した見解によれば、EU離脱後であっても、欧州共同体意匠及び欧州連合商標の登録は可能とされています。

 尚、イギリスはマドリッド協定議定書の加盟国であるため、当該議定書に基づく国際登録においては、これまで通りイギリスの領域指定が可能です。また、意匠のハーグ協定については、現在加盟の準備を進めているとされています。

 

(参照元)

・欧州特許庁 UK Referendum – Statement of President Battistelli“ 

・英国知的財産庁 Facts on the future of intellectual property laws following the recent Referendum decision“ 

・欧州連合知的財産庁  Joint statement