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判例・実務情報

【PCT】 PCT出願の国際段階における各種の通知書類とその対応について(改訂)



Date.2015年6月3日


1.受理官庁からの通知

 

(1) PCT/RO/103 手続補完命令書(INVITATION TO CORRECT THE PURPORTED INTERNATIONAL APPLICATIO)

 

・国際出願が国際出願日の認定に関する方式上の要件を満たしていない場合、受理官庁は手続の補完を出願人に命じる。


 (出願人の対応)

・指定された期間内(発送日から2ヶ月以内)に手続の補完を行う必要がある。手続の補完を行わなかった場合、国際出願日は与えられない(PCT条約11条)。


(2) PCT/RO/106 手続補正命令書(INVITATION TO CORRECT DEFECTS IN THE INTERNATIONAL APPLICATIO)

・国際出願日の認定に関する方式上の要件を満たしているが、その他に国際出願に欠陥があった場合に、受理官庁は出願人に手続の補正を命じる。


 (出願人の対応)

・指定された期間内に手続の補正を行う必要がある。

・補完を行わなかった場合は、見なし取下げとなる(PCT条約14条)。


(3) PCT/RO/107 欠陥補充に関する補完命令書(INVITATION RELATING TO CERTAIN PARTS OF THE INTERNATIONAL APPLICATION THAT ARE, OR APPEAR TO BE, MISSING)


・明細書、請求の範囲の一部の欠落及び図面の一部又は全部が欠落している場合、受理官庁は、出願人に手続の補完を命じる。


 (出願人の対応)

・指定された期間内(発送日から2ヶ月以内)に手続の補完を行う必要がある。

・期間内に欠落の補充の手続をしたときは、欠落の補充に係る書面を受理官庁が受理した日が国際出願日となる。

・期間経過後に欠落の補充の手続をしたときは、手続上有効とはみなさない旨の通知

・手続の補完を行わなかった場合、国際出願に含まれていない明細書等について言及がなかったことになる。


(4) PCT/RO/110 優先権主張の欠陥補充の命令書(INVITATION TO CORRECT PRIORITY CLAIM AND/OR NOTIFICATION OF POSSIBILITY TO REQUEST RESTORATION OF THE RIGHT OF PRIORITY)


・受理官庁(受理官庁が怠つたときは、国際事務局)は、優先権主張が下記のいずれかに該当した場合には、出願人に対し優先権の主張の補充をするよう求める。


①国際出願日が、優先期間の満了日の後で、かつ、優先権の回復の請求が提出されていない場合。

②優先権主張が、規則4.10に定める要件(先の出願に基づく優先権を主張する旨の陳述や、先の出願の日付、番号等の記載)を満たしていない場合。

③優先権主張における表示が、優先権書類に記載されている表示と一致しない場合。


 (出願人の対応)

・所定の期間内に応答しなかった場合、優先権主張は初めからなかったものとみなされる。

(ただし、受理官庁又は国際事務局がその旨を宣言する前であって、かつ、当該期間満了後1月以内に優先権の主張について補正したときは、当該期間内に応答があったものとみなされる。)


(5) PCT/RO/105 国際出願及び国際出願日の通知書(NOTIFICATION OF THE INTERNATIONAL APPLICATION NUMBER AND OF THE INTERNATIONAL FILING DAT)


・受理官庁により標記の国際出願が受理されたこと、国際出願日の認定要件が満たされたことを通知するもの。

・国際出願の原本(記録原本)が国際事務局に送付された日付が記載されている。


 (出願人の対応)

・出願番号、国際出願日、優先日、出願人、発明の名称、国際出願の原本(記録原本)が国際事務局に送付された日付を確認する。



2.国際事務局からの通知


(1) PCT/IB/301 記録原本送付および受理通知(Notification of the Receipt of Record Copy)


・国際事務局は、受理官庁から記録原本を受理したこと、およびその日付を通知する。

・国際出願番号、国際出願日、出願人の氏名又は名称、優先日(優先権主張がされている場合)、指定国のリスト、広域特許のために指定された締約国のリストが表示されている


 (出願人の対応)

・国際出願番号、国際出願日、出願人の氏名又は名称、優先日を確認する。

・誤りがある場合、出願人は国際事務局に対し訂正を請求できる。


 (留意点)

・PCT/IB/301が送付されず、国際事務局から記録原本を受け取っていない旨の通知を受けた場合、放置すれば、国際出願は取下擬制となる。

 受理官庁が記録原本を優先日から13ヶ月以内に国際事務局に送付していないことが原因。

 この通知を受けた場合、出願人は、受理官庁に対し、国際出願の写しを提出し、その写しが出願時の国際出願と同一であることの認証を請求する。さらに、認証された謄本を、通知の日から3ヶ月以内に国際事務局に送付することにより、国際出願の取下擬制を回避する。



(2) PCT/IB/306 変更の記録の通知(NOTIFICATION OF THE RECORDING OF A CHANGE)


・国際事務局は、優先日から30ヶ月経過前に、出願人や発明者の名義等、住所、国籍、あて名、代理人、共通の代表者について変更があった場合、その変更された情報を出願人に通知する。 

 (出願人の対応)

・変更された情報を確認する。



(3) PCT/IB/311 国際公開番号の通知(NOTIFICATION CONCERNING AVAILABILITY OF THE PUBLICATION OF THE INTERNATIONAL APPLICATION)


・国際事務局は、国際出願の国際公開番号を通知する。


 (出願人の対応)

・公開公報を入手し、書誌事項などを確認する。

・誤りがあれば、国際事務局にその旨を通知して、訂正版を発行するように請求する。

 公開公報の入手は、こちらから



(4) PCT/IB/308 20条送達に関する通知(SECOND AND SUPPLEMENTARY NOTICE INFORMING THE APPLICANT OF THE COMMUNICATION OF THE INTERNATIONAL APPLICATION (TO DESIGNATED OFFICES WHICH APPLY THE 30 MONTH TIME LIMIT UNDER ARTICLE 22(1)))


・国際事務局は、指定官庁に対し20条送達を行った旨を出願人に通知する。

 20条送達とは、国際事務局が、国際出願およびその国際調査報告を、国際公開後に各指定官庁に送達すること。

・最初の通知は、優先日から19ヶ月経過後に速やかに出願人に通知される。2番目及び追加の通知は、優先日から28ヶ月経過後に速やかに出願人に通知される。

・20条送達を請求し、かつその送達がなされた指定官庁、その送達日、20条送達を請求しなかった指定官庁が記載されている。

・20条送達がなされた指定官庁については、送達日に20条送達されたこと、及び出願人が国際出願の写しの提供を指定官庁に要求されないことの証拠となる。


 (出願人の対応)

・国際出願が20条送達された指定官庁、その送達日及び20条送達を請求しなかった指定官庁を確認する。



(5) PCT/IB/304 優先権書類提出又は送付の通知(NOTIFICATION CONCERNING SUBMISSION, OBTENTION OR TRANSMITTAL OF PRIORITY DOCUMENT)


・国際事務局は、優先権書類を受理した場合に、受理の日付および所定の期間内に提出又は送付されたかについて、出願人に通知する。

・優先権書類の受理した日付、優先権書類が所定の期間内に提出若しくは送付された旨の表示、又は所定の期間内に提出若しくは送付されなかった旨の表示が記載されている。


 (出願人の対応)

・優先権書類が所定の期間内に国際事務局に提出され、又は送付されたかを確認する。



(6) PCT/IB/307 取下の通告に対する国際事務局からの通知(NOTIFICATION OF WITHDRAWAL OF INTERNATIONAL APPLICATION OR DESIGNATIONS)


・国際事務局は、国際出願又は指定国の指定の取下の通告を受領すると、取下の事実、取下の対象、受領日を出願人に通知する。

・取下の通告が国際事務局に到達したのが、国際公開の技術的な準備の完了前か完了後であるかを通知する。完了前であれば、国際公開されない。

 


(7) PCT/IB/326 国際予備報告書の選択官庁への送付に関する通知(NOTIFICATION CONCERNING TRANSMITTAL OF COPY OF INTERNATIONAL PRELIMINARY REPORT ON PATENTABILITY)  

 
・国際事務局は、国際予備報告書を選択官庁に送付した場合、そのことを出願人に通知する。



(8) PCT/IB/338 国際予備報告書の翻訳文の写しの指定官庁への送付に関する通知(NOTIFICATION OF TRANSMITTAL OF COPIES OF TRANSLATION
OF  THE INTERNATIONAL PRELIMINARY REPORT ON PATENTABILITY) 


・国際事務局は、国際予備報告書の翻訳文の写しを、関係指定官庁及び出願人に報告を送達するのと同時に送付する。

・翻訳文の写しは、国際事務局の責任において作成されたものである。



(9) PCT/IB/346 クレーム補正の提出に関する通知(NOTIFICATION CONCERNING THE FILING OF AMENDMENTS OF THE CLAIMS) 


・国際事務局は、19条補正を期限内に受理したか否か出願人に通知する。

 

(出願人の対応)

・19条補正の受理日及び当該受理日が19補正の期限内であったか否かを確認する。




3.国際調査機関からの通知


(1) PCT/ISA/202 調査用写しの受理の通知(NOTIFICATION OF RECEIPT OF SEARCH COPY)


・受理官庁(日本国特許庁)が、当該国際出願の調査用写しを作成し、これを管轄国際調査機関(日本国特許庁)に送付したことを通知するもの。

・管轄国際調査機関(日本国特許庁)が、調査用写しを受理した日付が記載されている。

・国際調査報告及び見解書の作成期間を確認する。当該作成期間は、上記受理の日から3ヶ月、または優先日から9ヶ月の何れか遅く満了する日となっている。


 (出願人の対応)

国際調査報告及び見解書の作成期間の確認。



(2) PCT/ISA/210 国際調査報告書、PCT/ISA/237 国際調査見解書


・国際調査機関は、出願時の国際出願に基づき、国際出願に係る発明に関し先行技術があるか否かについての調査結果を示す国際調査報告を出願人(および国際事務局)に通知する。

 同時に、国際調査機関は、国際調査の結果に基づき、国際出願に係る発明が新規性、進歩性、産業上の利用可能性を有するか否かについての見解を示す国際調査見解書を出願人に通知する。

・通知は、優先日から9月、または国際調査機関による調査用の写しの受領から3月の何れか遅く満了する期間内。

・国際調査報告

 例えば、請求の範囲の一部に調査できなかったものがあるか否か、発明の単一性が欠如しているか否か、発明の名称・要約・図面に関する承認の有無、関連ある先行技術に関する調査結果が記載されている。

 また、関連ある先行技術に関する調査結果において、各先行技術文献には、請求項に記載された発明との関連の度合等に応じて引用文献のカテゴリーが付されている。

・国際調査見解書

 発明の単一性が欠如している場合には、追加手数料の支払いの有無と共に、その見解が示される。

 また、新規性、進歩性、産業上の利用可能性に関する見解が示される。さらに、国際出願に不備がある場合は、その旨も記載される。


 (出願人の対応)

 以下の対応がある。

・19条補正

 新規性等に関する否定的な見解が示されているが、この段階で肯定的な見解が欲しい場合に、19条補正による請求の範囲の補正を行う19条補正についての説明書も同時に提出。但し、明細書等の補正は不可。

・非公式コメントの提出

 非公式コメントを国際事務局に提出して国際調査見解書への反論を示すことが可能。

・19条補正と非公式コメントの提出

・国際予備審査請求

 新規性等に関する否定的な見解が示されているが、答弁書による反論、請求の範囲や明細書等の補正を行いたい場合には、国際予備審査請求をする。

 この場合、国際調査見解書は国際予備審査機関の第1回目の見解書とみなされる。



(3) PCT/ISA/206 追加手数料、及び、該当する場合には、異議申立手数料の求め(INVITATION TO PAY ADDITIONAL FEES AND, WHERE APPLICABLE, PROTEST FEE)


・国際出願が発明の単一性を満たしておらず、国際調査機関が出願人に追加手数料の支払いを求めるときに通知される。

・追加手数料の支払い期間は、1ヶ月以内。


 (出願人の対応)

・追加手数料を支払わない場合、請求の範囲に最初に記載された発明について、国際調査報告が作成される。

・追加手数料を支払った場合、国際調査報告が作成される。尚、一部の請求の範囲について追加手数料を支払うことも可能。

・追加手数料を支払いに対する異議申立てを行うことができる。

 但し、追加手数料は支払わなければならない。また、異議申立手数料の支払も必要になる。



(4) PCT/ISA/203 国際調査報告を作成しない旨の決定の通知(DECLARATION OF NON-ESTABLISHMENT OF INTERNATIONAL SEARCH REPORT)


・国際出願が調査の対象に該当しない場合、国際調査機関は、国際調査報告を作成しない旨の決定を出願人(および国際事務局)に通知する。

・調査の対象にならないものとしては、科学および数学の理論や、手術・人体の診断方法、植物・動物の品種等がある。

・明細書、請求の範囲または図面の記載に不備がある場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列リストが基準を満たしていない場合にも、当該決定の通知がなされることがある。



(5) PCT/SISA/501 補充国際調査報告(SUPPLEMENTARY INTERNATIONAL SEARCH REPORT)


・補充調査請求がなされた国際出願について通知される。

・通常の国際調査報告に引用されていない新たな文献以外は、引用文献として記載されない。

・国際調査機関の見解書は作成されない。

・補充国際調査は、2010年7月1日現在、ヨーロッパ特許庁等が行っている。日本の特許庁は行っていない。

 


4.国際予備審査機関からの通知


(1) PCT/IPEA/408 国際予備審査機関の見解書(WRITTEN OPINION OF THE INTERNATIONAL PRELIMINARY EXAMINING AUTHORITY)


・国際出願について国際予備審査請求がなされており、かつ、国際出願に関し国際予備審査機関が否定的な見解を有する場合に、その旨が通知される。

・否定的な見解とは、国際予備審査を要しないとされる場合、明細書等が不明瞭である場合、新規性・進歩性・発明の単一性を有していない場合、19条補正または34条補正が出願時の開示範囲を超えている場合等をいう。

・応答期間は、見解書の発送日から2ヶ月以内。


 (出願人の対応)

・34条補正、答弁書を提出して反論することが可能。

・応答しなかった場合、国際予備審査機関の見解書に基づいて国際予備審査報告が作成される。



(2) PCT/IPEA/409 国際予備審査報告(INTERNATIONAL PRELIMINARY REPORT ON PATENTABILITY)


・国際予備審査請求がなされた国際出願に対し、国際予備審査機関は、国際出願新規性・進歩性等に関する見解等が記載された国際予備審査報告を出願人(および国際事務局)に通知する。

・国際予備審査報告の作成期間は、下記の期間の何れか遅く満了する期間

 (a)優先日から28月

 (b)国際予備審査の開始のときから6月

 (c)国際予備審査機関の求める言語で、かつ国際公開言語である言語による翻訳文の受理の日から6月


・国際予備審査報告には、以下のものが記載されている。

 各請求の範囲毎に、新規性・進歩性・産業上の利用可能性に関する見解、19条補正または34条補正が出願時の開示範囲を超えている否か、発明の単一性に関する見解、国際出願の不備および国際出願に対する意見など。



(3) PCT/IPEA/405 請求の範囲の減縮又は追加手数料、及び、該当する場合には、異議申立手数料の求め(INVITATION TO RESTRICT OR PAY ADDITIONAL FEES, AND, WHERE APPLICABLE, PROTEST FEE)


・国際出願が発明の単一性を満たしておらず、国際予備審査機関が出願人に追加手数料の支払いを求めるときに通知される。

・追加手数料の支払い期間は、1ヶ月以内。


 (出願人の対応)

・請求の範囲を減縮する。但し、減縮の結果、国際予備審査の対象にならなかった部分は、選択国の選択官庁に特別手数料を支払った場合を除き、取り下げられたものとみなされる場合がある。

・請求の範囲を減縮せず、かつ、追加手数料を支払わない場合、主発明について国際予備審査報告が作成される。

・追加手数料を支払った場合、国際予備審査報告が作成される。

・追加手数料を支払いに対する異議申立てを行うことができる。

 但し、追加手数料は支払わなければならない。また、異議申立手数料の支払も必要になる。