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判例・実務情報

【米国、特許】 単離された遺伝子発明の特許性に関する司法省の見解



Date.2010年12月19日

 Association for Molecular Pathology and ACLU v. USPTO and Myriad (Fed. Cir. 2010)

 周知の通り、この事件は、今年3月、米国ニューヨーク州南部地区地裁が、単離されたDNAの発明は101条の特許適格性を有しないとする判決(Association for Molecular Pathology and ACLU v. USPTO and Myriad (S.D.N.Y. 2010))をした事件の控訴審である。

 米国司法省は、この件に関し、amicus briefを提出した。その結論は、単離された遺伝子の発明の特許性を否定すべきとするものであり、

 1.cDNAのような人工のDNAは101条の特許対象となり得るか

 2.修飾されていない単離DNAは101条の特許対象となり得るかを論点として挙げている。

 この司法省の見解は、USPTOと逆のものであり、今後の動向が注目される。

 (原審の要約)

 原審での主な争点は、Myriadの特許に於いて、単離されたDNAに関する発明が、特許法101条の適格性を有するか否かであった。

 従来、遺伝子関連発明に於いては、化学物質発明と同様、単離されたものであれば天然物ではなく人工的なものであるとして、101条の特許の対象とされてきた。

 原審において、Myriadは、単離されたDNAの発明は、特許適格性に関し、化学物質と異なった扱いをすべきではなく、単離されたDNAの構造的・機能的特性における差異がクレームされたDNAの主題であると主張した。

 ニューヨーク州南部地区地裁は、遺伝子が化学物質であると共に、生物学的情報(タンパク質をコードする情報)であるという側面を指摘。化学物質と同視できないと判断した。

 その結果、地裁は、単離されたDNAの発明は、天然のDNAと著しく異なるものではなく、101条に規定の適格性を有しないと結論付けた。

 尚、参考となる判例として、自然のバクテリアの特性の発見は特許適格性を有しないとした Funk Bros. Seed Co. v. Kalo Inoculant Co. (U.S. Supreme Court, 1948 (333 U.S. 127))がある。更に、自然界に存在するバクテリアと著しく異なる性質を有し、かつ、著しい有用性を有する新しいバクテリアの発明は自然物ではないとして、その特許性を肯定した判例がある(Diamond v. Chakrabarty (U.S. Supreme Court, 1980 (447 U.S. 303)))。しかし、近年では、Laboratory Corp. of America Holding v. Metabolite Laboratories, Inc., 548 U.S. 124 (2006)において、遺伝子診断の発明を特許の対象とすることに疑問を呈した判決がなされている。