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判例・実務情報

【特許】 情報提供制度について



Date.2012年5月8日

1.情報提供制度

 

(1) 概要


 情報提供制度とは、ある特許出願や実用新案登録出願が、新規性・進歩性などの拒絶理由(又は無効理由)に該当しているとの情報を特許庁に提供する制度です。

 

 下記の統計データにある通り、情報提供件数は年間約6,0008,000件程度で推移しています。また、特許庁によれば、情報提供を受けた案件の72%において、情報提供された文献等が、拒絶理由通知の際に利用されていると述べています。

 

 従って、自社の事業戦略上、問題となる他社の特許出願等が発見された場合には、情報提供は他社出願の権利化の阻止が図れるというメリットがあります。

 

(2) 情報提供ができる時期

 

 特許出願・実用新案登録出願がなされた後は、いつでも情報提供をすることができます(特施則§13の3)。また、特許の付与後、及び実用新案登録後でも可能です。

 

 但し、権利化後の情報提供については、慎重な判断が必要です。ケースによっては、無効審判を利用した方が有効な場合もあるからです。すなわち、権利化後の情報提供については、すでに無効審判や訂正審判が特許庁において審理されているなどの場合に有効ですが、そういった状況にない場合には、単にそのような無効理由が存在することを権利者側に知らせるだけになる恐れがあるからです。

 また、無効審判を請求するにしても、実際に何らかの問題が権利者側との間で生じるまでは行わない方が、コスト等の面からもメリットになる場合があります。

 

 その一方、侵害訴訟と並行して訂正審判が請求された場合に、訴えられた者(侵害被疑者)が、情報提供を行うことにより権利濫用の抗弁に使用した証拠を審判官に提示することができます。

 

 いずれにしても、権利化前に情報提供を行うのか、権利化後に行うのか、或いは無効審判を活用していくのかなど、対応策については、ケース毎に慎重な判断が必要になります。

 

(3) 情報提供ができる者

 

 誰でも情報提供をすることができます。また、匿名でも可能です。

 

 但し、匿名で情報提供を行った場合、その提供した情報が拒絶理由通知の際に利用されたか否かのフィードバックが特許庁から得られません。この場合には、特許電子図書館(IPDL)の経過情報検索などで自分でチェックすることができます。

 

(4) 情報提供できる拒絶理由・無効理由

 

 以下の拒絶理由・無効理由について情報提供が可能です。

 17条の23号(新規事項の追加)

 291項柱書(非発明又は産業上の利用可能性の欠如)

 291項(新規性の欠如)

 292項(進歩性の欠如)

 29条の2(拡大先願)

 391項~4(先願)

 3641号(明細書の記載要件違反)

 3642号(先行技術文献情報開示要件違反)

 3661号~3(特許請求の範囲の記載要件違反)

 36条の22項(原文新規事項の追加)

 

(5) 提出可能な資料について

 

 書面により情報提供を行います。例えば、刊行物又はその写し、特許出願又は実用新案登録出願の明細書又は図面の写し、実験報告書などの証明書類などが挙げられます。

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