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判例・実務情報

【知財高裁、商標】 商標法53条の2の代理人等の不当登録が争われた事例



Date.2011年3月23日

知財高裁平成23年01月31日判決 平成21(行ケ)10138(A事件)、平成21(行ケ)10264(B事件) アグロナチュラ事件

 

・株式会社株式会社イデアインターナショナル 対 アグロナチュラ ソシエタ コーペラティーヴァ アグリゴーラ

・商標法53条の2、代理人等の不当登録

 

(経緯)

 日本法人である株式会社イデアインターナショナル(A事件原告、B事件被告)は、本件商標(商標登録第4927377号)の商標権者である。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、イタリア法人であるアグロナチュラソシエタ コーペラティーヴァ アグリコーラ(A事件被告、B事件原告)は、イタリアにおいて下記引用商標の商標権(登録番号第933972号)を有している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アグロナチュラ社は、本件商標が、引用商標に類似することを理由として、商標法53条の2に基づき,本件商標の登録取消しを請求した。特許庁が、本件商標の指定商品のうち第3類、第25類、第30類について登録は取り消すが、その他の部分については請求不成立とする審決をした。

 この審決に不服の両者は、それぞれの敗訴に係る審決部分の取消しを求めて、知財高裁に訴えを提起した。

 

(争点)

 争点は、原告イデア社が本件商標登録出願の日前1年以内に被告アグロナチュラ社の代理人であったか否かである。

 

(裁判所の判断)

 上記の争点に関し、裁判所は以下の通り、事実認定をした。

 

平成17年1月ころ 日本法人である原告(イデア社)は,イタリア法人である被告農業協同組合の収穫するハーブ等を製品化し日本等で販売する計画を立ち上げた

平成17年2月ころ  原告は商品サンプルを購入して検討。

平成17年9月1日 IBSイタリアーナ社及び被告との間で独占的販売契約を締結。原告は,被告から大量の商品を購入するようになった。

平成17年5月12日 本件商標登録出願

平成19年3月21日ころ 被告が原告に対し,平成18年2月10日に登録された本件商標はパリ条約に違反する旨の警告文を送付。

平成19年8月31日の1か月前ころ 原告が被告に対し平成17年9月1日付けの契約関係を終了させる旨の通知。

 

 その上で、裁判所は、原告は本件商標登録出願後3か月余を経過した平成17年9月1日付けで被告との間で独占的販売契約を締結して、原告が何らかの意味で被告の代理人となったことは認められるが、それ以前は、被告から顧客として商品サンプルを購入して上記契約を締結するかどうかを検討する期間であったと認定して、原告は、本件商標登録出願がなされた平成17年5月12日の1年前である平成16年5月12日から平成17年5月12日までの間において、被告の「代理人」ではなかったと判断した。

 

 一方、原告のウェブページには、平成17年1月に被告との業務提携をした旨の記載があったが、この点について裁判所は、平成17年5月2日付けの日経MJ新聞では、原告とビオリーブス社が販売代理店契約を締結したとの記載があり、ウェブページ上の「被告との業務提携」との記載が誤りであったとみる余地もあるとして、原告が被告の代理人となったのは平成17年9月1日以降であるとの認定を左右するものではないとした。

 

 その結果、A事件についてはイデア社の請求を認め、B事件についてはアグロナチュラ社の請求を棄却した。

 

( 商標法53条の2)

 「登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であつて当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であつた者によつてされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」

 

(判決文) http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110203093224.pdf