1.マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願(マドプロ出願) (1) マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願とは、英語で作成した1通の出願書類を日本国特許庁に提出することにより、加盟する複数国に一括して登録出願した効果を得ることができる出願手続です。 (2) 但し、日本国特許庁に基礎となる自己の商標登録出願又は商標登録があり、それと標章が同一で指定する商品(役務)が同一またはその範囲内であることが条件になります。 また、指定国毎に指定商品・指定役務を変えることができます。
2.国際登録出願の出願人 (1) 国際登録出願をすることができる者は、①日本国民、又は②日本国内に住所又は居所(法人にあっては営業所)を有する外国人です。 (2) 2以上の出願人がいる場合は、出願人全員が前記2.(1)の要件を満たしていることが必要。
3.指定国
地域
国名
アジア*1
ブータン、中国(香港・マカオ未適用)、日本、北朝鮮*2、韓国、モンゴル、シンガポール、ベトナム、フィリピン、インド、カンボジア、ラオス、タイ、インドネシア、アフガニスタン、マレーシア、パキスタン
北米
中南米
南米
米国、アンティグア・バーブーダ、キューバ、コロンビア、メキシコ、カナダ、ブラジル、トリニダード・トバゴ共和国、ジャマイカ、チリ、ベリーズ*4
欧州
アルバニア、オーストリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ボネール島、シント・ユースタティウス島、サバ島、ベネルクス*3、ベラルーシ、スイス、チェコ、キプロス、キュラソー、ドイツ、デンマーク(フェロー諸島未適用)、エストニア、欧州連合、スペイン、フィンランド、フランス、イギリス(マン島適用)、ギリシャ、クロアチア、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、イタリア、キルギス、リヒテンシュタイン、リトアニア、ラトビア、モナコ、モルドバ、モンテネグロ、マケドニア旧ユーゴースラビア共和国、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア(セルビア・モンテネグロを継承)、ロシア、スウェーデン、スロベニア、スロバキア、サンマリノ、セント・マーチン、ウクライナ
大洋州
オーストラリア、ニュージーランド(トケラウ諸島未適用)、サモア
中東
中央アジア
アフリカ
ボツワナ、エジプト、ガーナ、ケニア、リベリア、レソト、モロッコ、マダガスカル、モザンビーク、ナミビア、スーダン、シエラレオネ、サントメ・プリンシペ、スワジランド、ザンビア、ルワンダ、チュニジア、ジンバブエ、アフリカ知的財産機関(OAPI:ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、赤道ギニア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、チャド、トーゴ)、アルジェリア、ガンビア、マラウイ、カーボベルデ
(2023年1月現在:113ヶ国)
*1 台湾は未加盟。 *2 日本からの北朝鮮の指定は不可 *3 オランダ、ベルギー、ルクセンブルクへの出願は、ベネルクス(BX)指定となります。 *4 ベリーズは2023年2月4日から発効。
4.国際登録出願の言語 (1) 国際登録出願の言語 英語(日本国特許庁が定めた言語) (2) 国際登録出願以外の通信の言語 国際事務局と出願人又は名義人間の言語は英語。但し、当該出願人又は名義人が国際事務局へ通信の言語を、英語又は仏語若しくはスペイン語にする旨を願書に表明したときは表明した言語となります。
5.国際登録の存続期間 (1) 国際登録日から10年間 (2) 国際登録の更新は何度でも行うことができ、また、1回の更新申請で各指定締約国に国際登録の更新を反映させることが可能。
6.国際登録の効果 (1) 国際登録された標章は、国際登録日から、指定国の官庁に直接出願された場合と同一の効果が与えられます。 (2) 指定国の官庁が、拒絶通報期間(1年又は18ヶ月)に拒絶する旨の通報をしない場合は当該期間の経過時に、又は後に拒絶通報を撤回した場合にはその撤回時に、国際登録日から、その標章がその指定国の官庁に登録されていた場合と同一の効果が与えられます。 (3) 国際登録について、出願人がパリ条約に基づく優先権を主張する場合、パリ条約第4条Dに定める手続に従わなくても優先権を享有することができます。従って、通常の商標登録出願について行うべきパリ条約に基づく優先権主張及び優先権証明書の提出の手続を行う必要がありません。
7.事後指定 (1) 事後指定とは、国際登録出願が国際登録された後に、指定国や指定商品(役務)を追加することができる制度です。 (2) 指定国の追加 国際登録出願の際に指定しなかった国を追加することができます。また、国際登録出願後に新規に締約国となった国も追加指定することができます。 (3) 指定商品(役務)の追加 国際登録出願の際に指定しなかった指定商品(役務)について、国際登録簿に登録されている商品(役務)の範囲と実質的に同一又はその範囲内であれば追加することができます。
8.セントラルアタック (1) セントラルアタックとは、①国際登録の基礎となった出願又は登録が、国際登録日から5年の期間が満了する前に拒絶、放棄、無効等となった場合、又は②当該5年の期間満了前に拒絶査定不服、登録無効(取消し)等の審判が請求され、5年の経過後に拒絶、放棄、無効等が確定となった場合に、国際登録された指定商品(役務)の全部又は一部についての国際登録が取り消されるというものです。その結果、指定国における国際登録の効果も当該取り消しの範囲内で失効することになります。 (2) セントラルアタックによって指定商品(役務)の全部又は一部が取り消された場合は、名義人は、取り消された指定商品(役務)に関して、指定国に、直接、商標登録出願を行うことができます。 そして、下記の要件を全て満たす場合、当該商標登録出願は、国際登録日(事後指定の記録日)にされたものとみなされます。 ①商標登録出願が国際登録の取り消された日から3ヶ月以内に行われること ②取り消された指定商品(役務)と商標登録出願の指定商品(役務)が実質的に同一であること ③指定国で定める商標登録出願の手数料を支払うこと 尚、国際登録出願について優先権を主張していた場合には、当該商標登録出願にも優先権が認められます。
9.国際登録出願のメリット・デメリット (1) メリット ・手続の簡素化が図れます。 複数国で権利を取得したい場合にも、1通の出願書類を提出することで、複数国に同日に出願した場合と同様の効果が得られます。出願手数料の支払いも、国際事務局に一括して支払うことで完了します。 ・書類作成が容易になります。 言語が異なる国に対しても出願等の手続書類は所定の様式に基づき英語、仏語、スペイン語の何れかで行います。 また、各国言語への翻訳も不要です。 ・権利の管理を簡便化できます。 権利関係は、国際事務局の国際登録簿により一元管理されます。国毎に存続期間の更新や商標権の移転、名称変更の申請等の手続を行う必要がありません。 ・経費の削減が図れます。 拒絶理由が発見されずに登録になる場合は、各国の代理人の選任が不要になるため、現地代理人費用が発生しません。指定国で拒絶理由が発見され、その国で再審査等を行う場合にのみ、その国の現地代理人の選任は必要となり費用が発生します。 ・迅速な審査 指定国官庁が拒絶理由を発見した場合の国際事務局への通報期間を1年(又は18ヶ月)以内に制限しています。そのため、迅速な審査が期待されます。 ・締約国の事後指定による保護の拡張が図れます。 事後指定により、出願時に指定しなかった締約国や、出願後に新たに加盟した締約国への保護の拡張が可能になります。 また、出願時に特定の国に対し指定商品・指定役務を限定的に指定した場合でも、国際登録の範囲内であれば指定しなかった商品・役務を追加することができます。尚、指定国ごと、または指定商品・指定役務ごとに削除することも可能です。 (2) デメリット 国際登録日から5年以内に基礎出願・基礎登録が拒絶、取下、放棄、無効、取消しになった場合には、国際登録も取消されます(セントラルアタック)。 5年以内の査定不服審判、無効審判、取り消し審判、異議申し立て等によって、5年経過後に確定したときも同様です。但し、前述の通り、指定国の国内出願に変更することにより権利化を図ることが可能(別途、出願費用・現地代理人費用が発生します。)。
1.マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願(マドプロ出願)
(1) マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願とは、英語で作成した1通の出願書類を日本国特許庁に提出することにより、加盟する複数国に一括して登録出願した効果を得ることができる出願手続です。
(2) 但し、日本国特許庁に基礎となる自己の商標登録出願又は商標登録があり、それと標章が同一で指定する商品(役務)が同一またはその範囲内であることが条件になります。
また、指定国毎に指定商品・指定役務を変えることができます。
2.国際登録出願の出願人
(1) 国際登録出願をすることができる者は、①日本国民、又は②日本国内に住所又は居所(法人にあっては営業所)を有する外国人です。
(2) 2以上の出願人がいる場合は、出願人全員が前記2.(1)の要件を満たしていることが必要。
3.指定国
地域
国名
アジア*1
ブータン、中国(香港・マカオ未適用)、日本、北朝鮮*2、韓国、モンゴル、シンガポール、ベトナム、フィリピン、インド、カンボジア、ラオス、タイ、インドネシア、アフガニスタン、マレーシア、パキスタン
北米
中南米
南米
米国、アンティグア・バーブーダ、キューバ、コロンビア、メキシコ、カナダ、ブラジル、トリニダード・トバゴ共和国、ジャマイカ、チリ、ベリーズ*4
欧州
アルバニア、オーストリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、ボネール島、シント・ユースタティウス島、サバ島、ベネルクス*3、ベラルーシ、スイス、チェコ、キプロス、キュラソー、ドイツ、デンマーク(フェロー諸島未適用)、エストニア、欧州連合、スペイン、フィンランド、フランス、イギリス(マン島適用)、ギリシャ、クロアチア、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、イタリア、キルギス、リヒテンシュタイン、リトアニア、ラトビア、モナコ、モルドバ、モンテネグロ、マケドニア旧ユーゴースラビア共和国、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア(セルビア・モンテネグロを継承)、ロシア、スウェーデン、スロベニア、スロバキア、サンマリノ、セント・マーチン、ウクライナ
大洋州
オーストラリア、ニュージーランド(トケラウ諸島未適用)、サモア
中東
中央アジア
アフリカ
ボツワナ、エジプト、ガーナ、ケニア、リベリア、レソト、モロッコ、マダガスカル、モザンビーク、ナミビア、スーダン、シエラレオネ、サントメ・プリンシペ、スワジランド、ザンビア、ルワンダ、チュニジア、ジンバブエ、アフリカ知的財産機関(OAPI:ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、赤道ギニア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、チャド、トーゴ)、アルジェリア、ガンビア、マラウイ、カーボベルデ
(2023年1月現在:113ヶ国)
*1 台湾は未加盟。
*2 日本からの北朝鮮の指定は不可
*3 オランダ、ベルギー、ルクセンブルクへの出願は、ベネルクス(BX)指定となります。
*4 ベリーズは2023年2月4日から発効。
4.国際登録出願の言語
(1) 国際登録出願の言語
英語(日本国特許庁が定めた言語)
(2) 国際登録出願以外の通信の言語
国際事務局と出願人又は名義人間の言語は英語。但し、当該出願人又は名義人が国際事務局へ通信の言語を、英語又は仏語若しくはスペイン語にする旨を願書に表明したときは表明した言語となります。
5.国際登録の存続期間
(1) 国際登録日から10年間
(2) 国際登録の更新は何度でも行うことができ、また、1回の更新申請で各指定締約国に国際登録の更新を反映させることが可能。
6.国際登録の効果
(1) 国際登録された標章は、国際登録日から、指定国の官庁に直接出願された場合と同一の効果が与えられます。
(2) 指定国の官庁が、拒絶通報期間(1年又は18ヶ月)に拒絶する旨の通報をしない場合は当該期間の経過時に、又は後に拒絶通報を撤回した場合にはその撤回時に、国際登録日から、その標章がその指定国の官庁に登録されていた場合と同一の効果が与えられます。
(3) 国際登録について、出願人がパリ条約に基づく優先権を主張する場合、パリ条約第4条Dに定める手続に従わなくても優先権を享有することができます。従って、通常の商標登録出願について行うべきパリ条約に基づく優先権主張及び優先権証明書の提出の手続を行う必要がありません。
7.事後指定
(1) 事後指定とは、国際登録出願が国際登録された後に、指定国や指定商品(役務)を追加することができる制度です。
(2) 指定国の追加
国際登録出願の際に指定しなかった国を追加することができます。また、国際登録出願後に新規に締約国となった国も追加指定することができます。
(3) 指定商品(役務)の追加
国際登録出願の際に指定しなかった指定商品(役務)について、国際登録簿に登録されている商品(役務)の範囲と実質的に同一又はその範囲内であれば追加することができます。
8.セントラルアタック
(1) セントラルアタックとは、①国際登録の基礎となった出願又は登録が、国際登録日から5年の期間が満了する前に拒絶、放棄、無効等となった場合、又は②当該5年の期間満了前に拒絶査定不服、登録無効(取消し)等の審判が請求され、5年の経過後に拒絶、放棄、無効等が確定となった場合に、国際登録された指定商品(役務)の全部又は一部についての国際登録が取り消されるというものです。その結果、指定国における国際登録の効果も当該取り消しの範囲内で失効することになります。
(2) セントラルアタックによって指定商品(役務)の全部又は一部が取り消された場合は、名義人は、取り消された指定商品(役務)に関して、指定国に、直接、商標登録出願を行うことができます。
そして、下記の要件を全て満たす場合、当該商標登録出願は、国際登録日(事後指定の記録日)にされたものとみなされます。
①商標登録出願が国際登録の取り消された日から3ヶ月以内に行われること
②取り消された指定商品(役務)と商標登録出願の指定商品(役務)が実質的に同一であること
③指定国で定める商標登録出願の手数料を支払うこと
尚、国際登録出願について優先権を主張していた場合には、当該商標登録出願にも優先権が認められます。
9.国際登録出願のメリット・デメリット
(1) メリット
・手続の簡素化が図れます。
複数国で権利を取得したい場合にも、1通の出願書類を提出することで、複数国に同日に出願した場合と同様の効果が得られます。出願手数料の支払いも、国際事務局に一括して支払うことで完了します。
・書類作成が容易になります。
言語が異なる国に対しても出願等の手続書類は所定の様式に基づき英語、仏語、スペイン語の何れかで行います。
また、各国言語への翻訳も不要です。
・権利の管理を簡便化できます。
権利関係は、国際事務局の国際登録簿により一元管理されます。国毎に存続期間の更新や商標権の移転、名称変更の申請等の手続を行う必要がありません。
・経費の削減が図れます。
拒絶理由が発見されずに登録になる場合は、各国の代理人の選任が不要になるため、現地代理人費用が発生しません。指定国で拒絶理由が発見され、その国で再審査等を行う場合にのみ、その国の現地代理人の選任は必要となり費用が発生します。
・迅速な審査
指定国官庁が拒絶理由を発見した場合の国際事務局への通報期間を1年(又は18ヶ月)以内に制限しています。そのため、迅速な審査が期待されます。
・締約国の事後指定による保護の拡張が図れます。
事後指定により、出願時に指定しなかった締約国や、出願後に新たに加盟した締約国への保護の拡張が可能になります。
また、出願時に特定の国に対し指定商品・指定役務を限定的に指定した場合でも、国際登録の範囲内であれば指定しなかった商品・役務を追加することができます。尚、指定国ごと、または指定商品・指定役務ごとに削除することも可能です。
(2) デメリット
国際登録日から5年以内に基礎出願・基礎登録が拒絶、取下、放棄、無効、取消しになった場合には、国際登録も取消されます(セントラルアタック)。
5年以内の査定不服審判、無効審判、取り消し審判、異議申し立て等によって、5年経過後に確定したときも同様です。但し、前述の通り、指定国の国内出願に変更することにより権利化を図ることが可能(別途、出願費用・現地代理人費用が発生します。)。