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判例・実務情報

【外国、特許】 主要国における特許出願時の必要書類



Date.2014年7月17日

1.  アメリカ(US

 

(1) 明細書、クレーム、要約、図面(必要な場合)

・クレーム…マルチ従属は許されるが、マルチのマルチ従属は許されない。

・クレームを含まない出願も可能。

 但し、遅延費用の支払いを条件にクレームの補充が必要。

・明細書や図面を含まない出願も可能。

 但し、下記アプリケーションデータシート(ADSApplication Data Sheet)に先の出願の表示があることが必要。また、遅延費用の支払いを条件に明細書等の補充が必要。

 

(2) 宣誓書(oath)又は宣言書(declaration

・発明者自身が最先の発明者である旨を宣言するための書面

・発明者が複数いる場合に、全ての発明者のサインが貰えないときには、出願人による代替供述書(Substitute Statement)の提出に代えることが可能。

・尚、宣誓書は公証人の前で宣誓することが必要。

 

(3) 委任状

 

(4) 譲渡証

・会社が出願人の場合に必要。

 

(5) 情報開示陳述書(IDSInformation Disclosure Statement

・出願人が把握している先行技術文献をIDSとして提出。

 

(6) アプリケーションデータシート(ADSApplication Data Sheet

・発明者の氏名、住所、国籍、発明の名称、優先権主張の基礎となる出願の情報等が記載された書面。

 

(7) 優先権証明書

・基礎出願が日本出願、又は日本国特許庁を受理官庁とするPCT出願である場合は、提出不要

 

(8) 言語

・英語

・英語以外の言語(日本語)での出願も可能。但し、英訳文を提出する必要がある。

 

 

2.  ヨーロッパ(EPC

 

(1) 明細書、クレーム、要約、図面(必要な場合)

・優先権の申立て(declaration of priority

 ①出願と同時に行う。但し、優先日から16ヶ月以内も可能(規則52(1))。

 ②先の出願の日付、国名、出願番号を表示する。

・クレーム…マルチのマルチ従属が可能

 

(2) 委任状

・包括委任状の提出が可能。

 

(3) 優先権証明書

・基礎出願が以下の場合は、提出不要

 ①欧州特許出願

 ②EPOを受理官庁とするPCT出願

 ③日本の特許出願・実用新案登録出願

 ④日本国特許庁を受理官庁とするPCT出願

 ⑤米国の仮出願、通常出願

 

(4) 先の出願の翻訳文

・優先権の有効性が特許性の判断に影響を与える場合に限り、先の出願の公用語による翻訳文の提出が求められる(EPC88(1)、規則53(3))。

・翻訳文を提出しない場合は、優先権の有効性が否定される。

 

(5) 言語

EPOの公用語(英語、フランス語、ドイツ語)

・日本語での出願が可能。但し、出願日から2ヶ月以内に翻訳文の提出が必要(規則6(1))。

 提出しない場合は、みなし取下げとなる。

・分割出願の場合は、親出願の手続言語で行う必要がある。親出願がEPOの公用語以外の言語で出願された場合は、手続言語以外の言語で出願が可能。但し、この場合にも分割出願日から2ヶ月以内に翻訳文の提出が必要(規則36(2))。

 

 

3.  中国(CN

 

(1) 明細書、クレーム、要約、図面(必要な場合)

・クレーム…マルチ従属は許されるが、マルチのマルチ従属は許されない。

 

(2) 委任状

出願後3ヶ月以内に提出可能

 

(4) 譲渡証

・出願人の変更または追加があった場合は必要

 

(5) 優先権証明書

・パリルートの場合、出願後3ヶ月以内に提出が必要。

 

(6) 言語

・中国語

 

 

4.  韓国(KR

 

(1) 明細書、クレーム、要約、図面(必要な場合)

・クレーム…マルチ従属は許されるが、マルチのマルチ従属は許されない。

 

(2) 委任状

・包括委任状による手続が可能

 

(4) 優先権証明書

不要

 

(5) 言語

・韓国語

 

 

5.  台湾(TW

 

(1) 明細書、クレーム、要約、図面(必要な場合)

・クレーム…マルチ従属は許されるが、マルチのマルチ従属は許されない。

 

(2) 委任状

・包括委任状による手続が可能

 

(3) 譲渡証

・201411日より不要

 

(4) 優先権証明書

・最初の優先日から16ヶ月以内に提出が必要。

2013122日から日本-台湾間で優先権書類データの電子的交換が可能となっている。但し、PCT出願を基礎として優先権主張をする場合は適用されない。

 

(5) 言語

日本語での出願が可能。

 但し、出願日から4ヶ月以内2ヶ月の延長可能)に、中国語翻訳文を提出する必要がある。